オオカミヤローに捕らわれて
魂が抜けた様に棒立ちになるオレに、吉良は言葉を続けた。


「統牙様、気づいていましたか?伊達さんずっと元気無かったんですよ」


「へっ……」


「確か花火大会が終わった直後からだった気がしますわ。お坊ちゃま、メイドだって人間です。何か伊達さんが嫌がる様な事したんじゃありませんよね?」


吉良の疑いの眼差しが、容赦無くオレに突き刺さった。


花火大会が終わった直後……


やっぱりオレ…吹雪の事傷つけてたんだ。


そんで何も気づかないで、勝手に冷たくして……挙げ句には出て行かせた。


後悔の石が降り積もり、岩となる。
< 307 / 430 >

この作品をシェア

pagetop