オオカミヤローに捕らわれて
とにかく、きちんと誠意が伝わる様に謝るんだ、オレよ。


オレに誠意なんてあるのかと思った君よ、あるんだよこれでも。


オレ一応坊ちゃんだからね、礼儀は弁えてるよ。


さっきから語尾に“よ”が付きまくりの思考をする事、4、5分後。


キィッ……


半開きだったドアがもうちょっとだけ開いて、吹雪がヒョコっと顔を出した。


途端にオレの背筋はシャキッと伸び、緊張が走る。


吹雪はパーカーにジーンズを着ていて、髪はそのまま下ろしていた。


「―――吹雪」


「……帰って下さい」


初めて聞いた、吹雪の冷たい声。
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