オオカミヤローに捕らわれて
そこまで言った統牙は、スッと頭を上げて、目にかかった前髪を手で避けた。


「オレがしてお前が傷ついた事全てにきちんと謝ろうと思って、今日は来たんだ。本当にごめん、吹雪」


真っ直ぐな漆黒の瞳に見つめられ、心臓がドクンと跳ね上がった。


統牙…わざわざ謝る為に、私の家まで来てくれたんだ……


私がキスマーク付けられて混乱してた事、分かってくれたんだ………


たったそれだけの事なのに、嬉しくてしょうがない。


ずっと凍りついていた心の奥底の部分が、ジワァ…っと溶け始めた気がした。


「いいよもう……気にしてないから」
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