オオカミヤローに捕らわれて
カワイイなぁと思いつつ、統牙から手を離す。


また私達の間に沈黙が流れた。


「………じゃあ、帰ろっか?」


統牙はきちんと謝ってくれた……私ももう何も言わないでおこうと決めた。


今ここで余計な事話したら、まさに余計な事なりそうだったから。


そうなってしまう前に退散しようと、立ち上がったのに………統牙に手首を掴まれてしまった。


「待てよ吹雪。お前、帰って来い」


「―――え?」


帰って…来い?


一瞬、何の事を言われているのか分からなかった。


だが今統牙が『帰って来い』と言う場所は、ひとつしか無い。
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