オオカミヤローに捕らわれて
統牙の目は悲しそうに揺れていて、私の胸を締めつける。


こうなったら全部何もかも話してしまおうかと思ったけど、寸ででやめた。


耐えなさい、私…


今統牙に“好き”なんて言っても、迷惑かけてしまうだけ。


将来の成見財閥社長には、もっともっと適してる女性がいる。


私なんかより、そういう人と結ばれた方が――――…統牙の為なんだから。


「理由なんて無いよ。ただもう夏休みが終わるまで1週間位だし、家族と過ごしたいの」


私は成見家に戻れない本当の理由を誤魔化そうと、咄嗟にウソをついた。


家族と一緒にいたいのは事実だ。
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