オオカミヤローに捕らわれて
真剣にオレを見つめ返す吹雪を見て、オレは確信した。


伊達 吹雪は家族の事になると弱い………恐らくコイツ、メイドの話OKするだろう。


それは弁償代金払わなくていいってのもあるけど、多分家族を遊園地にって気持ちの方が強いから。


つらつらと思考を巡らしていると、吹雪がソファーから腰を上げた。


「………メイドの件、お引き受けします。よろしくお願いします」


オレに向かって頭を下げる吹雪に、“やっぱりな”と思う。


―――コンコン


「お坊ちゃま、紅茶をお持ち致しました」


扉の外から吉良の声が耳に届く。
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