オオカミヤローに捕らわれて
吹雪が頭を下げると、相模と呼ばれたメイドも頭を下げる。


「こちらこそ……本当にお見送りしなくて、いいんですか?」


申し訳なさそうに言う相模に、吹雪は温かい微笑みを返した。


「ハイ。吉良さんと優牙様が見送って下さるらしいので。本当に今までありがとうございました」


相模と別れた後、吹雪の目は微妙に潤んでいた。


「まだ泣くのは早ぇぞ」


「分かってるよ!だから“色々あった”は、こっちのセリフだって言ったじゃない!!」


バシバシオレの背中を叩く吹雪。


そんな彼女の頭を撫でると、ピタリと大人しくなった。
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