オオカミヤローに捕らわれて
いきなり名前を呼ばれ、引きつり笑顔でまた振り向く。


「何でしょうか、統牙お坊ちゃま」


「お前って、彼氏いんの?」


………は?


えっ?何聞いて来てんの?この人。


お金持ちってアレかい?実は結構バカなのかい?


「――お坊ちゃまにわざわざお答えする様な質問ではございませんね」


呆れた気持ちを堪え、モップを動かし続ける。


しかしまだこの人に対する対抗力が備わって無い私は……


「フッ…彼氏いねぇんだ」


この成見さんのバカにした様な言い方に、頭に血が昇ってしまった。


「い…いますよ彼氏位!!」
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