恋猫
篠が淳ノ介の手をしっかりと繋いだ。
淳ノ介はこんないかがわしい所に入るのは、生まれて初めての経験だったので、凄く緊張し、手が汗ばんでいた。
「いらっしゃいまし」
中から女将らしき人が、愛想良く二人に声を掛けた。
「空いていますか」
淳ノ介がもじもじしているので、思い余って篠が女将らしき人に声を掛けた。
「丁度、よございます。二階の奥の部屋が、たったいま空きましたので、案内させます。ちょっとお待ちを」
出会い茶屋は繁盛している様子。
「お仲~」
パチパチパチ。
そう言って、女将が手を叩いた。
中から、30過ぎの女中が出て来た。