恋猫


 四畳半位の畳の部屋には、行灯と座布団、湯飲みが二つあるだけ。
 篠は木の戸に鍵を掛けると、鍵を行灯のそばに置いた。


 行灯の光りが薄暗く、妙に艶かしい。


 淳ノ介は部屋の入り口付近に棒立ちに成り、鉄柱のように固まっている。
 淳ノ介を横目で見ながら、何を思ったのか、篠がずかずかっと奥に行き、行き成り寝室に続く襖を開けた。


 中には、寝具が二つ並べて用意されている。
 篠が布団を見下ろして口を開いた。


 「出会い茶屋とは、いと面白き物。私の想像を遥かに超えておりましたわ。恋仲の二人には、最高の場所ですわ」


 篠は興味津々。目を猫のようにぴかりと光り輝かせている。






< 38 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop