恋猫
四畳半位の畳の部屋には、行灯と座布団、湯飲みが二つあるだけ。
篠は木の戸に鍵を掛けると、鍵を行灯のそばに置いた。
行灯の光りが薄暗く、妙に艶かしい。
淳ノ介は部屋の入り口付近に棒立ちに成り、鉄柱のように固まっている。
淳ノ介を横目で見ながら、何を思ったのか、篠がずかずかっと奥に行き、行き成り寝室に続く襖を開けた。
中には、寝具が二つ並べて用意されている。
篠が布団を見下ろして口を開いた。
「出会い茶屋とは、いと面白き物。私の想像を遥かに超えておりましたわ。恋仲の二人には、最高の場所ですわ」
篠は興味津々。目を猫のようにぴかりと光り輝かせている。