恋猫
後者の思いが勝利を治めて以来、美化は猫のオスには、前以上に興味が無くなった。と、いうより、猫なんぞを相手にするのが、馬鹿馬鹿しくなった。
相変わらず我が屋敷の伊達猫と、野良猫の番長が、美化に寄り添って来て、隙あらばと虎視眈々と狙っている。
美化は、二匹のオスたちを、後ろ足の二段蹴りで追い払った。
美化はオス猫と戯れる暇があったら、人間になり淳ノ介と熱い時を過ごしたかった。しかし、今は岡引が動き回り行動を慎む時。ほとぼりが冷めるまで、美化は化身をしたいという誘惑を、じっと封印をしていた。
こうなれが、猫の立場で、淳ノ介とじゃれ合う他あるまい。淳ノ介のそばに行き、淳ノ介に触れ合うだけで、淳ノ介と同じ空気を吸えるだけで幸せだから。