恋猫
あっちにふらふら。
こっちにふらふら。
またまた、左右にふらふら。
歩けど、歩けど、篠を超える美人はいない。
居るのは、芋、蛸、南京、かぼちゃばかり。
「畜生!今年は美人の飢饉か。はたまた、ぶすの豊作か」
美化は、若い女性の顔を見るたびにぼやきにぼやいた。
「江戸で探すのは無理かもしれない」
「じゃ、どこに行けばいいんだよ」
美化は肩を落とし落胆していた。
まさに、その時、その時である。
どこからか飛んで来たのか、瓦版が一枚。ひらひら、ひらひら、風に舞っていた。
美化は、その瓦版を拾い手に取った。
瓦版には、墨で書かれた美人の似顔絵と、次のような文面が綴られていた。