恋猫

 「あっ、猫!」


 「どうしたの。鼠でも追っ掛けているの」


 鈴が美化を見て慌てている様子。
 美化が鈴の前にちょこんと座り、とっておきのいい顔を。


 にっ。

 そして、おまけに美化が愛想笑いを。


 「あら、可愛い子ね。どこから来たの」


 鈴が美化を抱き上げた。


 にゃお~。


 美化が右手を上げて屋敷のある方向を指し示した。

 「あっちから、来たの。賢い子ね」

 美化が、ぺろぺろと鈴を嘗め回して親愛の情を示した。

 「やめて~。くすぐったいから、やめて~」

 鈴が美化のぺろぺろ作戦に、もうお手上げ。それでも、嫌じゃないのか、鈴は美化に頬を摺り寄せている。






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