ヴァージニティー
「おはようございまーす」

大学を卒業してから3年勤めている葬儀屋に、夕子はあいさつをした。

葬儀屋って言っても、大きい会社ではない。

ビルの隅っこにあるような小さい会社だ。

ものを書くためのデスクだけは設けてあるほど、小さな会社だ。

例えて言うなら、山村美沙サスペンスの『赤い霊柩車』シリーズと言った感じだ。

社員は夕子と事務員のケイコさんと社長の3人。

葬儀屋としての仕事は週に3回入れば充分と言ったところだ。

仕事のない日はケイコさんの仕事を手伝って、定時に帰ると言うのが当たり前だ。
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