ヴァージニティー
新人の彼は背が高く、スーツがよく似合っている。

(あっちゃんには負けるけどね)

新人の彼の品定めをした後、夕子は心の中で呟いた。

整った顔立ちに、1度もカラーリングしたことがなさそうなサラサラの黒髪が特徴的だ。

(あっちゃんの方が素敵だから)

新人の彼の観察をした後、夕子はまた心の中で呟いた。

「夕ちゃん、すっごいイケメンだよ!

夕ちゃん、お婿さんにどう!?」

声かけてきたケイコさんに、
「んー…」

夕子は曖昧に笑って返した。

「えーっ、今日から我が社に新しい人が赴任してきました」

社長の後ろにいた彼が前に出た。

「樋口健介(ヒグチケンスケ)です、よろしくお願いします」

樋口が夕子とケイコさんに向かって頭を下げた。
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