ヴァージニティー
(ふーん、社会の常識はわかっているんだ)

夕子は心の中で3度目の呟きをした。

樋口が頭をあげた。

「樋口くん、わからないことがあったら堀内さんか鷹宮さんに聞いてください」

社長が自分たちの方に視線を向けてきた。

「堀内ケイコです!」

何も言ってないのにケイコさんが自分の名前を名乗った。

「…鷹宮です」

夕子は嫌々ながらも、とりあえず自分の名字を名乗った。

これから一緒に仕事するんだし、仕方がない。

樋口と目があった。

夕子は逃げるように、その目をそらした。

「じゃ、始めようか。

樋口くんのデスクは鷹宮さんの隣だから」
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