ヴァージニティー
朝人は慌てて手で自分の口をおおった。

思ったことが口に出てしまった。

「ちょっと、あっちゃん」

夕子が名前を呼んだと思ったら、彼女の方に向かされた。

「お茶1杯くらい我慢してよ。

1杯飲み終わったらすぐに追い出すから」

夕子にヒソヒソ声で叱られてしまった。

「ごめん、つい…」

呟いているような声で謝った朝人に、
「あの、ご迷惑でしら…」

樋口が声をかけてきた。

「いえ、いいんです。

すみません、弟が失礼なことを」

帰ろうとする樋口を夕子が引き止めた。
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