ヴァージニティー
キッチンでは夕子が樋口のためにお茶の用意をしている。

当人である樋口はと言うと、
「…夕子さん」

朝人は夕子の名前を呼んだ。

「んっ?」

「寝てるんですけど」

樋口はいびきと言う余計なおまけつきでテーブルに突っ伏していた。

「…どうしよう」

夕子が呟くように言った。

このまま彼を外へ放り投げたら、当人が風邪をひくことは間違いない。

それだけです自分たちのせいになりたくない。

2人はため息をつくと、来客用のふとんをリビングに敷いた。

「俺がやる」

朝人は樋口を敷いたばかりのふとんに寝かせた。
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