ヴァージニティー

2-2*契約を結ぶ

まぶし過ぎる光に夕子は閉じていた目を開けた。

「あっちゃん、朝だよ」

朝人の肩を揺すって起こした夕子に気づいた
「――んーっ、“朝人”だってば」

眠たい目をこすりながら、朝人が躰を起こした。

「もう、朝人」

怒ったように自分の名前を呼んだ夕子に、
「おはよう、夕子」

ニコリと、朝人は夕子の名前を呼ぶと微笑んだ。

「おはよう」

そんな朝人に、夕子はあいさつを返した。

一緒に服に着替えると、リビングに向かった。

テーブルのうえには、丁寧に畳まれたふとんと置き手紙があった。

『本当にすみませんでした 樋口』

当人はどうやら帰ったみたいだった。
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