ヴァージニティー
「はい」

何の用だろうと思いながら、、夕子は声をかけてきた樋口に返事をした。

「お昼、一緒にいいですか?」

そう聞いてきた樋口に、
「えっ?」

夕子は思わず周りを見た。

ケイコさんと社長はもうすでにいなかった。

「そう…ねえ」

昨日…と言うよりも今日、財布を届けてくれたお礼もある。

「いいですよ」

返事をした夕子に、樋口が心の中で笑ったことを知らなかった。


樋口と一緒に会社の外へ出た。

「少し歩いたところに洋食屋さんがあるんですよ。

そこのハヤシライスがすごくおいしくて」

樋口の話を夕子は聞き流していた。
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