ヴァージニティー
「あの、鷹宮さん」

自分の名前を呼んだ樋口に、
「はい」

夕子は返事をしたが

「話を聞いてます?」

そう聞いてきた樋口に、何でそんなこと聞くのだろうと夕子は思った。

「聞いてますよ。

ハヤシライスがおいしいんですよね?」

そう言った夕子に、
「ええ、そうです。

鷹宮さん、ちょっと疲れてるんじゃないですか?」

樋口が聞いてきた。

「えっ、そうですか?」

夕子は頬に手を当てた。

そんな疲れてはいないと思うのだが。

「弟さんと朝までセックスをシていたら、そうなっても仕方ないか」

「…はっ?」

樋口の口から聞き捨てならないことが出てきたのは、やっぱり自分が疲れているからなのだろうか?
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