ヴァージニティー
「声がして起きてみたら、まあこの通り。

ビックリして心臓が止まるかと思いました。

実の姉弟がセックスをシていたんですから」

ククッと、樋口が声を出して笑った。

「ビックリして、思わず動画を撮ってしまいましたよ。

写メじゃバレると思ったんで」

何がおかしいのか、樋口はクスクスと笑っている。

「――あな、た…」

震える声で呟いた夕子に、
「んっ?」

樋口は聞いた。

「――あなたは、何がしたいんですか?

お金が欲しいんですか?

それとも私に会社を辞めて…」

夕子の言葉をさえぎるように、
「んなバカなことじゃないですよ」

樋口が言った。
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