ヴァージニティー
「その代わり、ネットにこの動画をアップしますから。

そしたら、大変なことになるでしょうねえ。

姉弟そろって周囲から白い目で見られ、会社を辞めさせられる。

ご両親や親戚からも軽蔑される。

2人で路頭に迷わざるを得なくなりますでしょう」

おもしろそうに笑う樋口に、夕子はギュッとこぶしを作った。

自分が、犠牲になればいい。

自分が、この男に躰を与えればいい。

そうすれば、朝人は助かる。

「――本当に、いいんですね?」

夕子は樋口に言った。
< 51 / 103 >

この作品をシェア

pagetop