ヴァージニティー
「そんな緊張しなくてもいいですよ」

樋口は笑うと、ベッドの隅に腰を下ろした。

緊張しているんじゃない。

夕子はそう言い返したかった。

けど、唇を動かすことができない。

「鷹宮さん、こっち見てください」

樋口がそう言ったので、夕子は仕方なく彼に視線を向けた。

「にらまないでくださいよ。

せっかくの美人な顔が台無しですよ」

樋口に笑いながら言われ、夕子の背筋がゾッと震えた。

「じゃあ早速、脱いでくれませんか?」

樋口が言った。

夕子は言われた意味がわからなかった。
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