ヴァージニティー
「――んっ…んうっ…!」

つかまれた腕では、抵抗ができない。

そのまま、樋口に後ろのベッドに押し倒された。

同時に、唇が離れる。

「――うっ…!」

樋口の唇が自分の首筋に触れた瞬間、
(――朝人…!)

夕子は心の中で朝人の名前を叫んだ。

怖い…!

嫌ッ…!

気持ち悪い…!

(――あっちゃん…助けて!)

確かめるように自分の体を這う唇が怖い。

自分の躰をなでる舌が気持ち悪い。

(いやあっ…!)

夕子は唇を強く噛みしめ、樋口との行為が終わるのを待った。
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