ヴァージニティー
ガチャッとドアを開けると、
「――夕子?」

その声を聞いた瞬間、また涙があふれた。

パジャマ姿の朝人が自分の方を見て、不思議そうに首を傾げている。

「――あっちゃん…!」

夕子は泣きながら朝人に抱きついた。

「夕子、どうした?」

突然抱きつかれたことに、朝人は戸惑いを隠せななかった。

夕子はグスグスと、朝人の胸の中で泣いていた。

大好きな朝人の体温。

大好きな朝人の匂い。

大好きな人の全てに、夕子の涙が止まらない。

「――夕…!?」
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