ヴァージニティー

3-2*まるで拷問

「おはようございまーす」

いつものように夕子が出社すると、そこにいたのは樋口1人だけだった。

「社長とケイコさんはどちらに?」

夕子は隣のデスクで仕事をしている樋口に聞いた。

「社長は病院回り、ケイコさんは午後からです」

樋口が夕子の質問に答えた。

「…そうですか」

夕子はデスクに座ると、仕事を始めた。

樋口と2人きりの空間が苦しくて仕方がない。

午後はケイコさんもいるから、2人きりにならないで済む。

夕子は早く午後になってくれることを祈った。

「ずいぶんと冷たいんですね」
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