ヴァージニティー

3-3*逃げる

熱いシャワーが頭のうえに降り注ぐ。

樋口との契約も。

彼に汚された躰も。

みんな、みんなお湯に流してしまうことができたらいいのに。

そう思いながら、夕子はバスルームの壁にもたれかかった。

夕子の心と躰は、すでにボロボロだった。

「――もう、ヤだよォ…」

頬を涙が流れる。

もう耐えきれない。

自分じゃどうにもならない。

けど、助けを求めることはできなかった。

そんなことしたら、朝人が傷つくのが目に見えていた。
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