ヴァージニティー
そう言った朝人に、
「覚悟はできとるどすなぁ」
と、祖母が言った。

「してなきゃ、京都まできません」

そう言った祖母に、朝人は返した。

「ほな、よろしゅおす」

祖母は返事をすると、腰をあげた。

「まや両親ん説得はしいやおらんのでっしゃろ?」

そう聞いた祖母に、
「気づいていないとすら思います」

朝人は答えた。

自分をよそに会話を続ける祖母と朝人に、夕子は訳がわからない。

「東京へいかはった準備をしいやきます」

そう言って祖母は離れた。
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