ヴァージニティー
夕子と一緒にお風呂に入るのは、実に久しぶりだった。

家のお風呂はここと違って狭いから、一緒に入れないのだ。

「引っ越す予定ないの?」

そう聞いた朝人に、
「…今ンところは」

夕子は愛しそうに、指先でバスタブをなでた。

「あたしも欲しいな。

おばあちゃんが死んだらもらおうかな」

そう言った夕子に、
「…どこに置くんだよ、こんなデカいの。

俺としては書庫にある美味しんぼ全巻と浅見光彦シリーズが欲しい」

朝人は呆れて息を吐いた。

チラリと、夕子の方に視線を向けると、ドキッと心臓が鳴った。
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