ヴァージニティー

4-3*ピリオド

祖母が帰ってきたのは、1週間後のことだった。

「ご両親が驚いてやはった。

東京に戻ったら、小言を言われへんことを覚悟おくれやす」

イタズラっぽく言った祖母に、2人はバツが悪い顔をするしか他がなかった。

「まさか、朝人が知っとったとは夢かて思っていおへんどしたと思うて。

驚いても仕方がへんと思うて。

ああ、そない言うたら」

祖母は話を終わらせると、何かを思い出したと言うような顔をした。

「樋口さんと言う男ン人に会やはったわ」

そう言った祖母に、
「――えっ…?」

夕子の顔が青くなった。
< 98 / 103 >

この作品をシェア

pagetop