ヴァージニティー
「どなかしたんやか?」

急に青い顔をした夕子に、祖母が尋ねてきた。

「おばあちゃん」

朝人が代わりに、祖母に事情を説明した。

「となると、そん樋口と言う男は実ン妹を脅し、犯どしたちゅうことどすなぁ?」

朝人の説明を聞いた祖母が言った。

「――えっ?」

2人が声をそろえて、祖母に聞き返した。

「夕子が、樋口の実の妹?」

朝人は訳がわからなかった。

「あんさんのお父ちゃんの名前は、樋口平介(ヒグチヘイスケ)。

あっていまっしゃろか?」

そう言った後、祖母は庭に視線を向けた。

つられるように、2人も庭へと視線を向ける。
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