文目剣術部【壱】

だがどんなに技をかけようとしても竹刀を握った手が震えて動こうとしない

香賀の間合いへの一歩が踏み出せない

香賀の面の隙間から見える昔自分が残させてしまった横一文字の傷跡が見える度にまた同じ事故を起こしてしまうのではないかと詠を恐怖へ誘う

視界がぐらつく

身体中が震える

頭で動かなきゃと思っていても事故で覚えた恐怖で体だけは動かない




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