想い綴り






「お~い亜衣~…お前なんで昨日迎えにこなかった……って…あれ?淳也?」








重たい空気を破るように、いきおいよく開いた玄関のドア。



そこから顔出したのは








「先輩!?」








そう

俺を強制参加させた あの先輩。


なんのためらいもなく靴を脱ぎ捨てて

まるで我が家のようにズカズカと。










「なんでお前が亜衣のうちにいんだ?」

「亜衣って…」


「それ、うちの妹」

「えええええ!?」









思いもしない展開に頭の中は大混乱。







「そういえば昨日…お前もいつの間にか消えてたよな」









いえいえいえいえ

それ俺、ぜんぜん覚えてません







でも
思いっきり寝起きな顔二つに

ほぼ裸な俺。




これはどっからどう見たって、

……そうとしか見えないわけで。







「…なに、お前らそういう仲だったわけ?」






上から下まで
食い入るような先輩の視線に


“酔った勢いってだけで、別に付き合うつもりなんてさらさらありません”



なんて……
口がさけても言えるわけない






とりあえず
この場をなんとか納めなきゃ

内心
かなり変な汗でそうな気分な俺


ひきつりながらも笑顔を作ると

先輩もニッコリと笑顔を返した











「亜衣~良かったな。コイツ、昔から引っ込み思案で

大学入っても彼氏とか出来ねぇんじゃないかって心配だったんだよな~」









あれ?

思ったより柔軟?



まぁ
こんなんでも一応、大学生だし?


男遊びの1つや2つしとけ…










「まぁ?妹泣かせるような男には、指一本触れさせるつもりなかったわけだし?

もちろん、淳也もマジメに付き合ってたりするんだよな~?」







……って、訳じゃないですよね

そりゃあ。







「なぁ?淳也~?」






目の前に見えるのは にこやかだった笑顔がだんだんと


ドスの効いた低い声と、絶対逃がしてくれそうにない眼光に。










俺、下手なこと言ったらマジで殺られる?








「あは…そうですね…」







そして
今に至る…




そんな訳です…

















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