想い綴り









『何にも見えてねぇのな』










…って…

去り際に残した涼太のひと言…――












何にもって…

あんな女に何があるってんだ?






たいして
かわいいわけでもないし

いっつも
オドオドしてるし



あんなん
連れて歩いても悪目立ちするだけじゃんか







なのに




『―…何にも見えてねぇ…―』

って…







なんなんだ?
アイツ


涼太のくせに

上から目線でモノ言いやがって

なんかムカつく








だいたいアイツ
女とつきあったことだってねぇじゃんか
なのに

俺にわかんねぇのに 涼太にはわかるって?


んなもん
あるわけねぇじゃん








「つか…てめぇが女語るなや」








腹の中に広がるのはイライラ

なんも知らないクセにってそう思いながらも


なぜか
ずっと消えない
涼太が見せた微笑み…










…お前にはわかんねぇだろってか?

じゃあ、見てやるよ

お前が言う
“見えてねぇ唐沢”ってやつを










「…絶対、後からたらふく文句言ってやる」








涼太がいう唐沢亜衣なんて

そんなもん見たまんまだろって




絶対
言ってやる





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