想い綴り
振り返り様に見えたのは
眉を八の字に歪めて困ったように慌てる唐沢の顔。
俺と目が合うと
慌てるようにその手を引っ込めた
「あの…ごめんなさい……あたし……勉強しに図書室来てるんじゃなくて…
手伝いで来てるから…」
しどろもどろに、
なんだか必死に言葉を繋ぐ唐沢。
俺…
コイツがこんなに喋ってんの、はじめてみたかも
でも
…なんだ
俺が嫌だからじゃなかったんだ
「…手伝いって?」
「あ……本の整理とか…修理とか雑用…あたし…司書になりたくて…」
司書って…
アレだよな
図書館とかで働く…
「資格とならきゃなれないって知ってるけど…近くでみたくて…それで…」
「それで図書室?」
「うん………」
なんだ
毎日、図書室って言うからガリ勉だと思ってた
「だ…っだから、………隣に座りたくないとか…そういうんじゃなくて…」
目の前に映るのは
申し訳なさそうに頭を下げる唐沢の顔。
でも
そんな唐沢に返すのは
「…別に…はじめからそんな気にしてねぇし」
なんの気なしに出るキツイ口調…
やべ
また……
こういうこと言うからオドオドするって
さっき
自分でいったんじゃん
チラッと見た唐沢はまたいつもの困り顔。
そんな顔させたいわけじゃ無かったんだけど
でも
「…行けよさっさと。俺、本読んでるから」
モヤモヤした胸の中が
少しだけ…
晴れた気がした