想い綴り







でも
目の前には






“淳也”







たったそれだけの言葉を口に出来なくて

真っ赤になってうつむくそんな姿。









今時
こんな反応する奴、そうそういなくて。


俺、Sっ気ある訳じゃねぇんだけど

やっぱりこんな顔されたらさ











「分かった、お前、実は俺の名前、知らんのだろ」


「え…」



「そうだよな、知らんかったら呼べねぇよな、悪かったな」


「えっ、あっ…」










…なんて


やっぱ、
ちょっといじめたくなるじゃん。






横目でチラッと見下ろすと


そこに映るのはアワアワと慌ててる亜衣の姿。









ホント、変なとこ真面目










「ホラ、冗談だっつのっ、さっさとやんねぇと終わんねぇぞ」


「あ…」










でも…









「あっあのっ!!」


「ん?」



「…ちゃんと…知ってる…から」



「は?」




「だから……名前っ





…じ…………じゅ…淳也って…」











コイツの
こういうとこ…

なんていうか…

俺しか知らねぇんだろうなって…



そう思うとさ
妙にくるんだよ












「ん?わりぃ、聞こえんかった」



「…っ!!」



「…もっかい言って?」










なんだろうな
コレって。


何回も…何度でも見たくなる。









「………聞こえてたくせに…」


「さぁ?なぁ…もっかい言って?」



















「…淳……也…?」











たぶん…

きっと、これってさ

やっぱ、
そういう…ことかな

だって












“もっと”って…










そう思うから






< 119 / 130 >

この作品をシェア

pagetop