想い綴り
特別な人
「うっひゃあ♪見ろよあの子、ストライクじゃん」
「どれ…なんだ中の下じゃん。それよりあれ見ろよ。あの足は犯罪だろ、たまんね~っ」
久々の休講
教室の中に響くのは 相変わらず窓の向こうに騒ぐ仲間の声。
「…お前、その足フェチなんとかならんの?」
「うっせっ、お前だって、タラコ唇にこだわってんじゃね~かっ」
「つか…お前ら、どっちもどっち」
ホントに
男ってどもなんねぇ
下らねぇ口喧嘩を横目にやっぱりケータイいじる俺。
周りで騒ぐ声に適当に相づち打ってると
不意に
「そういえば、淳也ってまだあの地味マメの世話してんの?」
隣から投げられたそのひと言に
急に周りまでが食い付いた。
「え、まだあの地味子と付き合ってんの!?」
「え~?、なになに、なんの話?」
「いやだから~、コイツ、酔っ払って手ぇだしたじゃん?」
「あぁ~、あん時の合コンだっけ?淳也、すっげぇ飲んでたもんな~」
「でさ?勢いでジミ子に手ぇ出しちゃってよ~
ジミ子の兄ちゃんコエーから、しかたな~く付き合ってんだぜ?」
「え!?マジで?淳也ついてね~っ」
口々に飛び出すのは
ついこないだまでの俺と同じ、
表面だけ見て面白がる声。
「つか、あのマメ子、まだ別れるって言ってこねぇの?」
…いや、あの
それ、最初の頃の話だし
今、ぜんぜん違うし
「いや…それなんだけどさ」
もう
ちゃんとみんなにも言っといた方がいいかも
そう思って
口を開こうとした
その時だった。