想い綴り
「ふぅん?じゃあ…もう関係ねえってことだ」
窓越しに
もたれて聞こえたのは
抑揚のない涼太の声
俺を横目に
コーヒーを一気に飲み干すと、そのままゴミ箱へと投げた。
「…なんだよ」
「いや?別に?」
「別にって…そんな顔してねぇじゃん」
さっきから
チラ見して…
ケンカ売ってんのか?コイツ
「言いたいことあんならさっさと言えよ」
含みのある涼太の声に
募るのは苛立ちと胸に占めてるモヤモヤ
ろくでもないことだったら蹴り飛ばすからな
そんな風に
眉を潜めて、がっつり睨み付ける俺に降ってきたのは
「あいつら、さっきマメ子連れて歩いてたぞ」
…そんな声。
「………は…?」
突然の涼太の言葉が一瞬で
頭の中を空転する
「なに、気になんの?」
「…あ…いや…そ…んなわけ……」
「だろ?アイツらよ~、最近、淳也が付き合い悪ぃのはマメ子のせいだって言い出してよ~。
いい加減、付きまとうのやめろって言うつもりらしいぞ?」
付きまとうって…
なんで……
亜依は別に……
「良かったな、仲間思いな連中で」
「あ……そ…うだな…」
なんだろ……
上手く笑い返せない
涼太の笑顔を前に
ドクンドクンと
やたら響く心臓の音
不安に似たような
焦りに似たような…
言葉にならない気持ちが、どんどんと膨れ上がっていく
いや…
アイツらだって
バカじゃねぇし
先輩の怖さも知ってる
そんな…
亜依にひどいことするわけない
…それに
俺が出てった所で
亜依に合わせる顔なんてないんだから
でも
「お、アレあいつらじゃね?」
明るい涼太の声に
顔を向けた俺
そこに見えたのは
「ははっ、アレ今に泣かせんじゃね?」
そこに見えたのは
自分より大きな男達に囲まれて
肩をすぼめている
亜依の姿だった