想い綴り
「アンタ、女いる男に、なに手ぇ出してんのよ!!」
「真奈美に謝んなさいよっ!!アンタなんか遊びにもならねぇだろっ」
飛び交う罵声。
騒然となる食堂の奥。
攻め立てられる声に…
心臓の音がどんどん大きくなる一方だった。
頭に浮かぶ若杉の笑顔…
あたしに向けられたまっすぐな瞳
名前を呼ぶ…甘く響くあの声…
まだ、若杉のキスの跡…残ってるのに…
…終わる時って…
こんなにあっけないものなのかな。
「…葉月アンタ、自分が何してるか分かってんの!?真奈美がかわいそうだと思わないの!?」
…そんなの
はじめから
分かってた…
手を伸ばしちゃいけないことも…
欲しがっちゃダメな事も
でも…
『ー…たまには悪い女になってみれば?…ー』
ずっと好きだった人から差し出された手
…拒むこと出来なかった。