想い綴り








ざわつく食堂。
集まりだした人だかり。









「さっきから、1人相手になにやってんだよ?」







その中で静かに響く若杉の声。

まっすぐに近付いてくるその姿に。

胸の奥がじりじりと熱くなる。











…ダメ
来ちゃダメじゃない


若杉が出てきたら…

もうどうやってもごまかせない。


あたしと若杉の秘密の関係が終わるだけじゃなくて…

真奈美チャンとの関係までこじれちゃうよ…









慌てるでもなく…
ゆっくりと前を見据えるその瞳。

その顔に涙が込み上げそうだった。











「元はといえば、若杉が悪いんじゃないっ!!」


「は?」








あたしのすぐ横で足を止める若杉に向けられる声。









「若杉…アンタ、なんでこんな女といるのよっ!?」


「ちょっ、千穂ぉ」

「真奈美、アンタはちょっと黙っててっ!!なんで真奈美いるのに、こんな女にちょっかい出してんのよっ」






今にも、つかみかかろうとする腕を止める真奈美チャンを振り切って、

更に食ってかかろうとする友だちの姿。





騒然となる光景。

誰もが息を飲んだ
そんな時


その中で若杉から飛び出したのは














「俺、真奈美と付き合ってもねぇのに、

なんで好きな女といて責められなきゃいけねぇんだよ」










そんな一言だった。




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