想い綴り






「こないだのは、マジでバイトの先輩っ
俺…今まで一度も浮気なんかしたことなんてねぇよ」




「じゃあなんで、あの時、否定しなかったのよ」



「それは……」








…いいだけ悩まされたんだもん、簡単に納得してやんないんだから。

でも

そんなあたしの耳に届いたのは











「…かなえの気を引きたかったんだよ…

お前、俺が話かけても、いつも素っ気なかったじゃん。

だから…つい…嘘でもいいから近づきたくて……」






自信なさげに呟いた小さな声。









…あれだけ女の子にモテるクセに

あたしの気を引きたかったって…

こんなまどろっこしくしなくても…

本当…




「…不器用」


「なっ、なんだよそれっ」





でも

不器用なのはあたしも一緒だ。




たった一言が言えなくて

近づきたくて…でも怖がって…遠回りして…


やっとここにたどり着くなんて。










「かなえ…もう浮気とかじゃなくて…ちゃんと…俺と付き合って…」







まっすぐの視線。
その先に映るのはきっと…

ずっとずっと夢見てた未来。


だから…
もう一度…最初からやり直そっか。









「あたし…誘われたら浮気しちゃう悪い女だよ?」







よそ見なんてしてたら…知らないからね?






「…上等。俺以外見えないようにする自信あるし。

だから……名前呼んで?」







うん。
ずっと…

あなただけを見ていたい。















「………伊吹…?」









ずっとそばで…





「…やべー…すっげえ嬉しい…」






だからここから
恋…はじめよう?






END



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