想い綴り
繋いだこの手を
永遠に離さずにすむ
あの頃のあたしはそう思ってた。
「カンナ、月に願い事するとしたらなんて願う?」
いつだって隣で笑ってたから。
「え?普通、それ流れ星にでしょ?」
「だって3回言うまでに消えるじゃん」
「ワガママ~。願い事ね~、やっぱり…ずっと一緒にいたいとか…幸せになりたいとか?」
手を伸ばせば
そこにはいつもあたたかい竜希の大きな手があった。
「カンナ、それ叶えるのは月じゃねえよ」
「え?」
ずっとずっと…
「そばにいて…カンナを幸せにすんのは俺だし」
あたしたちは
こんな風にこの先も一緒だと思ってた。
春も
夏も
秋も
冬も
どの季節にも
竜希との思い出ばかりが上書きされていくって…
でも。
「…カンナ…ごめん…俺、転校する…」
別れは突然訪れた。