想い綴り
…苦しかった。
春にさえなれば、会えるって信じてたから。
竜希が入試に失敗して、会えない時間が上乗せされて
なかなか話せない電話も
メールも…
楽しかったはずのデートでさえ、すれ違っていく思いが苛立ちに変わって
ケンカばかりのつらいものに変わっていった。
大好きな気持ちは変わらないのに
触れ合えない距離と
見えないお互いの生活に
「…もう……無理…ごめん…な…さい」
あたしの方が崩れた。
『…カンナ…俺…嫌いになった…?』
耳元に響く…苦しげな震える声…
…違う
ずっと…
ずっと竜希だけ…
ズキンズキンと痛む胸は…
竜希にだけ響いてるのに…
大好きなのに…
なのに…
この時のあたしは
自分のことでいっぱいで
辛いのが嫌で
寂しいのが苦しくて
竜希だってそう感じてくれてたことさえ気が付く余裕なんてなくて。
“楽になりたい”
その一心で…
「ごめん…なさい」
繋がれた手を
愛しい人の手を離したのは
あたしだった。