想い綴り











「しっかし、もうこの飲み会も定番だよな~」


「ってか、何で毎回俺の部屋なんだよ。いい加減、大家さんに怒られんだけど」


「稲本、あきらめろ。広い部屋借りたお前が悪い」











賑やかな笑い声

気の合う仲間たちの中で笑う楽しい時間。



当たり前のようにあたしの隣で笑う

藤本の笑顔…








こんな時間をまた
藤本と共有するなんて

あの頃のあたしには想像もできなかった










一年遅れで藤本が入学するまでの一年間…


竜希と…

…藤本と別れてから

誰とも付き合わなかったって言えば嘘になる。




でも、
誰と付き合っても…









「ほら、高崎、お前ウーロン茶だろ?」

「ん…ありがと」


「藤本~っ何、ちゃっかりアピールしてんだよ」


「はあ?そんなんじゃね~よ。こないだみたいに俺の前でリバースされちゃかなわんっ」


「は?ちょっ、それあたしじゃないわよっ」


「うるせー、黙ってウーロン飲んでろ」









…いつもこの笑顔が頭から離れなくて

結局続かなかった。













『カンナ…月に願い事するならなに願う?』










ずっと…

忘れられなかったあの日の言葉





まあるい月を見上げて思うのは今も









“もう一度…”












きっと叶わない

そんな願い…



< 30 / 130 >

この作品をシェア

pagetop