想い綴り
昔から…
あの頃からそうだった。
「あれ?俺のビールは?」
「知らねー、飲んだんじゃね~の?」
「って、藤本っ、お前なに人の飲んでんだよっ!!」
「やべー、俺、荻の彼女と間接ちゅーじゃん」
「なに~っ!?」
いたずら好きで生意気で…
だけどいつでも
藤本の周りには笑顔が溢れてて
自然に人を寄せ付ける…
そんな男の子が藤本だった。
「ちょっと~っ、そんな水みたいにカパカパ飲まないで、もう少し味わったら?
なんか飲ませるのもったいないっ」
「うるせー、お前は俺の母ちゃんか」
ちょっと意地悪で
本当口悪くて
でも、
「ほら、カンナちゃんも一杯くらいいっとけって」
飲めないあたしに手渡される缶ビール。
苦笑いであけた途端、
「旨さもわからん奴に飲ませる方がもったいね~っての」
「あっ、ちょっ、もうっ!!」
横からかっさらうとそのまま一気に飲み干した。
でも
知ってる。
ちゃんと飲んだビールの代わりに
さりげなく、目の前にウーロン茶の缶を差し出してくれたこと。
いじわる
だけど
…すごく優しい
でも
それは誰に対しても…
『友達』だから
そうわかってても
そんなとこ
昔から大好きだった。