想い綴り
『もしもし!?お前、今どこ!?稲本と別れたって!?…』
ケータイを耳に当てた途端、聞こえたのは
ちょっと慌てる藤本の声。
すでに、
今さっきの出来事を知ってるみたいで、ずっと慌ててるみたいだった
さっき繋がらなかったのは、たぶん稲本君が連絡したからだ。
「藤本…ごめんね、振られちゃった」
『…何あったんだよ?俺、てっきり…』
本当、
稲本君っていい人すぎる
これじゃ、怖がってないで前に進しかないじゃない
「…ねぇ?ひとつ聞いていい?」
『何?ってか、今どこよ』
少しずつ、早くなる胸の音。
声を聞いただけで
心丸ごと支配されるようなこの感じ
それはただ1人、藤本だけに反応してる…
だから
「…もう一度、手を繋いでって言ったらどうする?」
『…高崎…?』
ゆっくりと月を見上げて瞳を閉じて
ひとつ深く深呼吸。
もう…迷わないように…
『…高崎…お前…』
「…あたし…別れてからも…
ずっと竜希が好きだった」