想い綴り









「…あたしずっと後悔してた。

あの日手を離さなければ、そしたら今もずっとそばにいられたのにって…

あたしから言い出して…何を今さらって思われるのだってわかってる…でもっ」

『お前…今ドコにいる?』











あたしの言葉を止めたのは

少し低く聞こえた藤本の声。










「…駅近く…の公園…」










あたしの一言を聞いた途端、

そのまま切られた電話。







むなしく響く不通を知らせる音








…やっぱり
今さら…だよね






パチンとケータイをたたんで

涙をこらえるように月を仰いだ。












…伝えられただけで充分


言葉にさえ…出来ないままだったんだから


だから…
今だけ



今だけ泣いてもいいよね…?












「…っ…っく…」













…好きだった

何よりも大切だった

たぶん…
この世界中で誰よりも

一番側にいたかった

本当に…





本当に


「…っ…好きだったよぉっ」










…止められなかった。

溢れ出す涙も
伝えきれなかった愛しさも


全部
しずくになって流れ落ちるのを

止められなかった。








終わっていく恋…

泣き崩れるように座り込んだあたし。





でも

そんなあたしのうえから聞こえたのは













「…そういう大事な事は、ちゃんと目を見て言うもんだろ…?」











ちょっと切なげな…
愛しい声だった。



< 43 / 130 >

この作品をシェア

pagetop