想い綴り
聞こえるはずのない声
ゆっくりと顔をあげた先に見えたのは
「…なんで、いっつも大事なことを電話ですまそうとするんだよ…」
切なげにあたしを見下ろす大好きな人。
いるはずのない姿に
あたしは涙を拭うのさえも忘れてた
「…もっかい言ってみろよ」
「………竜希…?」
あたしの前しゃがみこんで大きな手が涙を拭った。
まっすぐあたしを映すその瞳
おそるおそ手にる触れると柔らかな優しい笑顔を見せた。
「…ちゃんと聞くから…言ってよ」
まるで、
“大丈夫だよ”
そう教えてくれるようなそんな優しい目。
…伝えたかった
ずっと…
だから
「………友達なんかじゃやだ………好きだった………あの頃よりずっと…好きって……ずっと…言いたかっ………」
“そばにいたい”
“もう一度やり直したい”
そう続く言葉を遮ったのは
あたしを包み込む強く優しい腕。
しっかりと抱き締められた腕の中で聞いたのは
「…お前…わかってないだろ…なんで俺が一年遅れてでも、この大学受けたのか…」
切なげに聞こえる声と
大きく響く胸の音…
そして
ゆっくりと見上げる先には
「…ずっと…もう一度、会いたかったからに決まってるだろ?」
ほんの少しだけ赤い目の大好きな笑顔が見えた。