想い綴り
やべ
そう思って慌てて顔を上げると
教師の視線は、俺じゃなく
「芹沢!!聞いてんのか!?」
窓際の後ろの席に向けられていた。
「そんっなに俺の授業がつまんねぇか」
ちょっと呆れ顔の教師の声にゆっくり振り返ると
「…別に」
めんどくさそうにため息つく芹沢の姿
「なんだ、その態度はっ!!」
「…別に」
あ~あ
あんなん…適当に頭下げときゃいいのに
いきり立ってる教師を目の前にして、変わらずに飄々とした顔。
芹沢 つぐみ…
ある意味
このクラスの注目株。
同じクラスの女子と連むわけでもなく
休み時間でも1人で本読んでるような奴
話しかけてもたいてい無反応
見た目キレイだって、最初は男連中も騒いでたけど、
今じゃ誰もよりつかない
芹沢 つぐみはそんな女
「そんなにつまんねぇなら出てっていいぞ」
教師に対しても、そんな感じで
結局いつも
「…じゃあ、早退します」
半分キレ顔の教師を前にして
悪びれる様子もなく、涼しい顔で教室の扉を閉めていった。
「まぁた、アイツかよ~」
「本当、なに考えてっかわかんねぇよな」
俺もだけど
クラスメイトの中の印象はたぶん…
『変な女』
もったいねぇよな
あんなにきれいなのに
まあ、別に…
俺には関係ねぇんだけどさ